スポーツ青年がよく罹る≪インキンタムシ≫は、こう丸の皮膚に出来ます。単なるインキンは、馬油を塗布すると直ちに痒みも止まり、翌日には完治します。が、ここに述べる≪南方系陰部疥癬≫は、私が勝手に付けた名前ですが、生易しいものではありません。
昭和の大戦後、台湾や東南アジアから復員してきた兵隊さんが、持って帰って来たのがルーツです。国産インキンと違って、股の付け根にインキン本部があり、冬は本部に引きこもって小さな粒になっています。梅雨時期から夏になると、股から陰部周囲に拡大繁殖し、その他の所へは移りません。非常に頑強なゲリラの感じで、ヨーチンや馬油を塗ると急激に拡大移動して逃げ回り、二日や三日では退治できません。先ず、健全な周囲の皮膚に塗って、取り囲むように周囲から中心に向って塗布します。ヨードチンキを併用して、朝晩二回以上塗り続け、約一ヶ月以上もかかります。