(昭和52年)
(11)下戸が酒飲みになった(13)男が女より早く死ぬ訳

梅もにんにくも、使い方次第では大そう美味い食味になりますし、或る種の料理には、むしろ無くてはならぬ物と言えます。
所が、この両者は単なる食味としてでは無く、健康用或いは薬用と言う考え方で使われる事が多いのです。そこで、その効用が、酸っぱさや臭さ等の欠点と天秤にかけられます。
欠点は誰でも解りますが、長所(効用)の方は正しく理解されているでしょうか。

健康な人が肉を食べた後、排泄した大便には、消化吸収できなかった肉の成分が、まだ50%以上も含まれています。
つまり、食べた肉は半分以下しか役に立っていないのです。

戦前の話ですが、人糞で豚やあひるを飼育していた所がありました。(黒豚でしたが、丸々と肥えていました。)

では、肉とにんにくを一緒に食べた時はどう変わると思われますか?
肉の成分は、何故か殆ど消化吸収されて、大便にはもう豚を肥やす栄養分が残っておりません。
にんにくは、動物性蛋白質と併食すると、このような巧妙な働きをするのです。同じ量の肉を食べても、二倍以上食べたのと同じ栄養効果があるのですから、少々臭くても素晴らしい薬味と言わねばなりません。

梅もにんにくと全く同じ効力を発揮しますが、相手が肉類ではなく”野菜や海草”と言う植物食に対してです。

面白いことに、何かを食べてそれが良く消化吸収される時は、とても美味しく感じられるから神秘です。

梅雲丹を舐めている人が、大変な野菜好きになる訳は、美味しいから、つまり野菜の成分が良く吸収されているから
、と言えましょう。

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