(昭和57年)
(2)酸性体質とアルカリ性体質

癌を始め、糖尿病、肝臓病、心臓病、通風、リューマチ、アレルギーなどの諸病は、野菜嫌いの所謂、酸性体質と言われる人に起こる病気です。

偏食と不摂生が、人間の体を虚弱体質に劣化する根本原因である事は、間違いありません。偏食も不摂生もその人のクセであり単なる習慣ですが、人間は一度ついたクセを、良かれ悪しかれ死ぬまで守り抜こうとする妙な生物です。

例えば、肉好きで野菜嫌いの人に
『野菜を、肉と同じ位に美味しいと感じて食べなさい。』
と言っても、到底無理な命令でしょう。クセと言うものは、理屈や理性で直せるような簡単なものではありません。
一番ひどい場合は『俺は兎じゃないぞ!』などと怒られて受け付けようともされませんし、協力的に食べてくれる人でも、とても肉と同じ美味しさを感じて食べる事は無理でした。ところが、美味しいと感じていない時は、食べた野菜の消化吸収率が悪いのですから、人間の体と言うものは実に神秘的です。

『天皇皇后両陛下、エリザベス女王とご陪食・・・』などの新聞記事を見ても、日本人は別に不思議がりませんが、公共的な新聞のニュース記事で、自分の国の国王に陛下をつけるのは、日本人独特のクセの一つです。
例えば、中国に日本の首相が訪中したら、
『日本国○○総理閣下と毛主席が会食歓談・・・』
とニュースに出ています。
陛下と言う字は、皇帝や国王に付ける敬称ですが、公共的な記事で他国の国王との会談記事を出す場合、自分の国の王様に敬称を付けず、お客さんに来られた他国の王様に敬称をつけるのが一般の文明国の習慣です。
日本は反対の習慣があり、他国の王様は呼び捨てにして、自分の国の宗家に敬称を付けます。
これは、明治以来、皇室を崇敬する余りに、いつの間にかついた日本人のクセで、日本人は無意識のうちに天皇様に陛下を付けて書きますので、小さい子供たちは、天皇が苗字で陛下が名前と思ったりするそうです。
エリザベス女王は他国の王様ですが、せめて訪日された時のニュース位は、陛下をつけて差し上げたら如何でしょう。

私は、日本の新聞社に習慣(クセ)を変えてくれ、と言っているのではなく、人間のクセと言うものは、一度ついたら大変な努力をせぬ限り、直るものではないと言っているのです。
しかし、食物の好き嫌いの悪いクセだけは何とか直さないと、病気になったり早死したりしますから、用心せねばなりません。
私の調査では、野菜好きの人は丸味のある性格が多く、野菜嫌いの人は、何となく我がままで角張った性格が多いのです。
癌とか糖尿病に罹っている人の性格を、約十年間調べてみましたが、『わがままで、我が強い』ことが共通していました。
食物の好き嫌いの習慣(クセ)と性格には、因果関係があるのではないかとも思いましたが、どちらが因か果か解りません。
般若心経では『色即是空』と説かれていますから、色(体→食物)と空(心→性格)とは一体にして因果なしと考えるべきでしょうが、不思議なことに、少々無理しても《梅雲丹》を舐めていると、全く無意識のうちに野菜好きに変わってしまいますし、野菜好きになって『うまい、うまい』と大根の葉などを毎日食べていると、角のとれた”円やかな性質”になってしまうような気がしてならないのです。

起き抜けに 何はともあれ、梅雲丹。

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